商いの心2007.8)

客の目前で茶葉を缶に詰めて売る 得をした気分になる 自分も得をしたいと吊られて買う 「お得」心理を捕らえる

 

北陸の片山津温泉へ行った帰り道、立ち寄った土産物店の売り場でお茶を売っていた。 普通の店では、予めお茶の葉を缶に詰めておいて、客が来て、欲しいと言えばそれを売る。

 

この店は少し違う。 緑色の茶葉の効用を説明しながら、お客の目の前で、茶葉を缶にぎゅうぎゅう詰めにしながら売っている。 決して予め詰めておいた缶を売るのではなく、客の目の前で詰め込むのがポイントである。 茶葉を何度も押し込んで、もうこれ以上入らないところまで詰め込む。 缶の蓋も半分しか重ならない程に詰まっている。 お客は詰め込まれる様子を自分の目で見て、随分沢山入れてもらって得をした気分になる。 側で見ていた他の客も、自分も得をしたいと思い、吊られて買う

 

1缶千円、5割余分に詰め込んでも儲かるような値段に設定されていると思われるが、見事に客(特に女性客)の「お得」心理を捕らえている