あの世良いとこ一度はおいで

一度は死ぬ 居心地の良い所 人類発祥以来何百億人 アルカトラス刑務所

人は誰でも一度は死ぬ。 それが何時かは死ぬ時まで誰にも分からない。 死んだらその後どうなるのだろうか。 大病や大怪我で一度は生死の境をさ迷い、その瀬戸際まで行きながら、幸運にも命を取り止めた人がいる。 その人達が、回復後にその時のことを思い出して言っている話によれば、自分が自分自身の体から抜け出し少し高い所、例えば木の上や家の屋根の上のような所から、自分の亡骸を見下ろしていた、と言うことである。 このような感じ方はかなりの人に共通した記憶であるそうだ。 その段階までのことは、何人ものそこから返ってきた人の経験談から分かることなのだが、それから先のことは、帰って来た人がいないので、誰にもよく分からない。

しかし、私はこう思っている。 死んだ先にはあの世がある。 そこは実に素晴らしく、居心地の良い所で、何年いても決して帰りたいとか、残してきた人にもう一度会いたいなどと思うことがない程である。 なぜかと言えば、仮にそこの居心地が少しでも悪ければ、最初の内は楽しくても、その内に帰りたくなって必ず一人や二人は逃げ帰ってくる人がいるはずである。 増してやそこが苦しい所や、つらい所であったとすれば、なおさら多くの人が脱走してきたはずである。 にもかかわらず、人類発祥以来何百億人もの人間がそこへ行きながら、未だかつて誰一人帰って来た人がいないと言うことは、あの世がそれはそれは素晴らしい所に違いないのである。

人間は自分がおりたくない所に閉じ込められると、どんなに高い塀や深い堀で遮られようと、どんなに厳重な警戒網やバリケードがあろうと必ず脱走を試みる動物であり、何人が脱走に失敗しようとも懲りずに挑戦し、その内誰かが成功して抜け出して来るのである。 その証拠に、世界中のどんなに厳重な刑務所でも、必ずどこかに隙を見つけて脱走する囚人がいる。

以前アメリカを訪れた時、サンフランシスコの沖にある有名なアルカトラス刑務所を見たことがある(暴力団の親分で有名なアルカポネもここに入れられた)。 ここは絶対に逃げられないことで知られた所だが、それでも何人かの囚人が脱走を試みその内何人かが成功しているそうである(何人成功したかは国家機密)。

なにしろ、そう言うことだから、あの世は誰も逃げ出そうなどと思いもしない程良い所なのである。 その上あの世へ行けば、先に行っている懐かしい両親や親友にも再会できる。 私の言うことを疑ってはいけない。 素直に信じることだ。