足長おじさんと心の豊かさ(1998.12)

 交通事故で親を失った子供達に奨学資金を提供 身体障害者に車椅子を送る 物の豊かさが心の貧しさを招く

 先日JRの○○駅前で中学生2人が声を張り上げて募金活動をしているのに出会った。 趣旨を聞いてみると交通事故で親を失った子供達に奨学資金を提供するためだと言う。 沢山の人が前を通過するが、寄付をする人はごくまれにしかいない。 それでも少年達は声を張り上げ続けていた。

 また、別の日(日曜日の朝であったが)、自宅の庭にいると道路から中学生が声を掛けてきて、身体障害者に車椅子を贈るために協力して欲しいと言って、福祉関連の雑誌を売りに来た。 一部買ってやると丁寧に礼をいって、嬉しそうな表情で帰って行った。 或る人は、「それは彼等が自分達の小遣いを稼ぐためにやっているので騙されたのだ」と言う。 或いはそれが真実かも知れないが、私には彼等の表情が純粋で、とても人を騙しているとは思えなかった。 あなたはどちらだと思うか。

 物質的には、今の日本は随分と豊かになった。 しかし、心の豊かさは物の豊かさに追い付いていないのではないだろうか。 幾ら物が豊かに充足されても、それは必ずしも心の豊かさを満たすものとはならない。 むしろ物の豊かさが心の貧しさを招くことさえある 少年達の足長おじさん活動が、心の豊かさに繋がるものであってほしいと思っている。