電線の地中化2007.8)

道路から電柱がなくならない 水道やガスは地下に埋設 コストをさげる工夫が足りない

 

 電柱がなくなれば都市の景観はどんなにすっきりすることか。 電柱は車の通行にも大きな傷害となっている。 特に狭い道路や歩道のない道路では電柱が邪魔になっている。 そんなことは誰もが思っていることだが、どうしても道路から電柱がなくならない。 既設の住宅街からすぐに電柱を無くすのは難しいので、新しく開発される住宅団地から電柱を無くしていけば良いと思われるのだが、それもできない。 まだ家が一軒も立っていない新開発の団地に、先ず電柱の林ができる。 何と美的感覚に欠けることか。 本当に電柱は無くせないのだろうか。

 

水道やガスは古くから地下に埋設されている。 一方、電力会社は10年一日の如く、過去の工法を踏襲して地上配線を続けている。 電気だけが空中が当たり前と思い込んでいるのである。 何故地下に出来ないのかと問うと、配線コストが高いからだと言う。 また、台風などの災害時に復旧が速いと言う。 地下配線なら被害自体が少ないのに。

 

実際は、コストをさげる為の工夫やアイデアが足りないだけである。 マンホールのプレハブ化やケーブルが通る管路の簡易化・耐震化が一部で進んでいるが、これを推進すれば、まだまだコストを下げることは可能である。 道路の路面からのオープンカット工法だけでなく、モグラ式の小口径のシールド工法(トンネル工法)も可能である。 勿論、電力線と通信線との共用溝もコストを下げるために必要であるし、技術的に可能である。 公共工事の一環として是非実用化を推進すべきである。

 

「電気は電柱で」と言う過去の常識を見直す時期にきている。 既存の市街地は無理としても、新興市街地は是非地中化すべきであり、既存の市街地も出来る部分から順次地中化していけば、何十年か先には改善される。 現在のように全くその気になっていない状態では、百年経っても電柱の林は変わらない。 先ずは「地中化」しようという大方針(国民的合意)が示される必要がある。 何とか公共工事を増やしたいゼネコン各社や政治家諸氏にとって絶好のテーマではないか。