背後から鉄砲を撃ってくる人達1998.5)

5ミリ角の小部品が過電流で焦げる ぼや発生 言葉使いが大きな影響を及ぼす

会社で仕事をする場合、大抵は一人だけでするのではなく仲間と一緒であることが多い。 長い会社生活の間には、時によって稀ではあるが仲間と思っていた人から裏切られることもあるものだ。 何時かこんな例があった。 余りに思いがけない事であったことから、今でも記憶している。

たまたま私が担当して開発した製品が納入先で使用中に、内臓していた電子部品(プリント基板に搭載されていたIC部品の1個)が原因不明で加熱して焦げたことがあった(たまたまこの製品は少々出来が悪く、評判が余り良くなかった)。 電気のことに少しでも経験のある人なら直ぐに分かると思うが、5ミリ角程の小さな部品で少し過電流が流れると簡単に焦げる。 そんなトラブルに対して、一緒に仕事に携わっていた御仁が、「ぼやが発生した」と報告書に書いたものだから、社内や納入先の会社で大問題になったのである。

何しろ「ぼや」と言えば小さいとは言え火事であるから、火事とは全く次元の違う状況であったにも拘わらず、関係者から「消防車は出動したのか」とか、「消火器を使ったのか」とか、そんな質問が出てくることになってしまった。 勿論、詳しく説明をすれば分かって貰えることではあるが、このことによって一層客先(製品の納入先)の評価を落とすこととなり、後々仕事がやりにくくなる原因の一つとなってしまった。

たった一つの言葉使いでも、時により大きな影響を及ぼすことがある。 恣意的に「ぼや」と書いたのか、深く考えずに書いてしまったのか、事情は明らかではないが、結果的には大きな不信感を与えてしまったことになる。 言葉には、特に正式な書類に書く言葉使いには、十分配慮しなければいけない事例である。