人を使うは苦を使う2002.5)(2007.8)

配下の人達の欠点ばかりが目に付く性格 使われる者は苦労をする 部下の長所を活かす人こそが人を使うに適した人種 活躍の場を与えて貰える 「人を活かして使う人」と「人を自分の言う通りに動かす人」

  

学校を卒業して会社に入り、何年かすれば係長、課長、主任、店長、リーダーなど、呼び方は変わっても、人を使う立場、部下を持つ立場に立たされることになる場合が多い。 これはサラリーマンに限らず、経営者であれ、何かにのグループのリーダーであれ、人を使う立場は共通の状況である。

いざ、人を使う立場に立った際に、自分の配下の人達の欠点ばかりが目に付く性格の人は、人を使うに適さない部類の人である。 その人間個人の能力が高いのと部下を使う能力とは必ずしも一致しない。 自分独りなら立派に仕事をするのに、部下に仕事をさせたり、部下と一緒に仕事をするのが下手な人種はいくらでもいる。 そんな人が管理者や経営者やリーダーなど、人を使う立場になると自分も精神的に疲れる。 下の者(使われる者)は苦労をするし、自分の能力を伸ばせない。 頑張って伸ばそうとすれば上と衝突したり、伸びるのを邪魔されたりする。 そんな上司の下に付いた部下は不幸である。 自分と合わない人との人間関係をどう改善すれば良いかを学ぶのには、良い機会かも知れないが、誰もそんな期間が長く続いて欲しくはないだろう。

 

人の長所が良く見えて、「A君はこんな長所を持っているから、こんな仕事に使ってやろう」、とか、「B君はこんな特技を持っているが、どんな仕事に使うのがいいか」、と部下の長所を活かすことを前向きに考える人こそが、人を使うに適した人種である。 こんな上司の下に付いた部下は幸福である。 自分に活躍の場を与えて貰えるし、長所を引き出して貰える。 自分も気付いていない特長を発見してもらえることさえあり、それが自信に繋がって更に伸びる。 

 

時にはあれもこれもと、こき使われることも覚悟せねばならないかも知れないが、それでも前述の上司の下で悶々としているよりは、ずっとましである。

 

人の使い方の違いを如実に表す例がある。 ダイエーと松下電器は、何れも創業者が一代で大企業に育てた企業グループである。 ダイエーは倒産した(再生はされた)が松下電器は隆々と繁栄している。 松下さんも中内さんも立派な人である。 その違いは何だろうか。 理由はいろいろあると思うが、最大の違いは、「人を活かして使う人」と「人を自分の言う通りに動かす人」の違いではなかろうか。 世間(世界)を見る目も大分違っていたと思われる。  一方は商売のみに目が行き、もう一方は国全体を見ている。 神戸流通大学(中内さんの創設)と松下政経塾の違いとも言える。 昨今、松下政経塾出身の政治家が多く育っているのは、その証ではないだろうか。