自社株は買うな1998.5)

資産を株や投信にシフト 日本経済、世界経済の勉強 経済を見る目を広く

 

アメリカでは自分の資産を株や投資信託で持つ人が多い。 日本ではまだまだそう言う人は少数派ではあるが、銀行の金利が超低金利であることや、銀行でも倒産するケースがあり、必ずしも安心できないこともあって、少しづつ資産を株や投信にシフトする人が増えている。 若い人の中にも株を買う人が増えつつある。

しかし、株はやはりリスクが高いことには違いないので、株に投資する場合は、そのお金がもしも返ってこなくても、諦められるだけの腹づもりをしておく必要がある。 一旦自分の手から離れたお金は2度と返ってこないかも知れない、その場合でもじたばたしないだけの覚悟をしておくことだ。

勿論、株を買えば大きく儲かる可能性があるだけでなく、日本経済、世界経済について興味を持ち、勉強もする様になる。 何しろ自分の大切なお金が経済情勢によって大きく膨らんだりしぼんでしまったりするのだから。 勉強すること自体大きな成果である。

サラリーマンがどの株を買うかとなった時、一般には、「自社株を買え」と言われることが多い。 しかし本当にそれが良いだろうか。 「自社株買い」の理由は、株を買うことによって自社の経営状況を勉強するようになると言うのだが、上場企業の規模になるとなかなか社の経営実態は分からず、社内では厳しい話や悪い話ばかりが頻繁に聞こえてきて、景気の好い話や楽観的な話はあまり聞こえてこない。 むしろ私は「自社株は買わず、他社株を買え」と言いたい。

何故なら、もし自社株を買っていて会社が傾いた(極端な例では倒産した)場合はどうなるか。 株は下がるし(極端な例では紙屑になる)ボーナスは出ないし、ダブルパンチを食うことになる。 他社株を買った場合は、自社が傾いても他社株が安全ならシングルパンチで済む。 或いは自社が調子が悪くても他社株は上昇して儲かるかも知れない。 何れにしてもリスクの分散になる。 それにも増して重要なことは、他社株を買った場合の方が経済を見る目が広くなり、且つ公平な目で見ることが出来る。

そんな理由から、敢えて一般に言われることとは反対のやり方を薦めたい。