階段を登る1999.8)

人は高い所にいる様に見える 1段の階段を上がれる能力さえあれば10段でも登れる 新しい階段を作る苦労から比べれば格段に容易 階段を登ると新しい景色が見える 最上段の上に新しい階段を積み上げる

 

何かを新しく始めようとする時、自分より先に始めている人は随分高い所にいる様に見えるものだ。 自分がいくら背伸びしても飛び上がっても、とてもそのレベルまで届かない様に感じることもある。 しかし、その人も一足飛びにそのレベルにまで上がった訳ではない。

 一段一段登ってそのレベルに達したのである。 従って、1段の階段を上がれる能力さえあれば2段、3段も登れるし、10段でも登れるはずだ。(最初の一段を登る能力の無い人は話が別だが) 特に他人の作った階段がある場合は、新しい階段を作る苦労から比べれば格段に容易である。 しかも大抵の場合、どこかに誰かが作った階段(本であったり、先生であったり、マニュアルであったり)があるものだ。 だから階段さえ見つければ、最上段まで登ることができる。 

階段を一段登ると、下にいた時には想像もしていなかった景色が見えてくることがある。 仕事や勉強の上でも、一段レベルが上がると今まで見えなかった状況が見えてくる。

 しかし、出来上がった最上段の上に更に新しい階段を、例え一段でも積み上げるのは難しい。 これには出来上がった階段を登るより、何倍もの能力と努力と時間を必要とする。

 これは山道を登るのにも似ている。 山道では、それが例え幅30センチのけもの道であっても、道が有ると無いとでは、同じ道のりを歩くのに格段の相違がある。 最初に道を付けた人、階段を作った人の苦労は並大抵のものではない。