究極の海外旅行1999.8)

日常と違う体験 ハワイ シンガポール カルチャーショック アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア 貧富の差 インド ものの考え方と発想の違い 2度と来たくない インド大好き派 自然の違い 人間生活の違い

 

海外旅行が誰でも手軽に行けるようになった。 旅行の面白さは何処にあるのかと言うと、それは「自分の日常と違う体験をする」所にある。 いつもと同じものを食べ、同じものを見、同じ人と話をしていたのでは、「日常との違い」が少なく、その意味で旅行の面白さも少ない。 さしずめ、旅行会社の旗を押し立てた海外旅行などはその意味で興味半減である。 日本人ばかりが集まり、日本語で話を聞き、日本食を好んで食べていては本当の意味での海外旅行とは言えない。

ハワイやシンガポールは初めての海外旅行先としては適当な場所である。 気候は良いし、日本と比べて地元の人の生活レベルも余り変わらないから、初めて経験する海外でも、いわゆるカルチャーショックは殆どない。 言い換えれば、「日本との日常の差」は大きくないが海外旅行初体験としては最適と言える。

アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなども、ハワイと比べれば「日常との差」は大きいが、カルチャーショックと言う程のものではない。 東南アジア、中国は場所によっては、カルチャーショックを受ける人もあるだろう。 それは現地の人達の生活レベルの違いから来るものである。 日本との貧富の差、或いは現地人相互間の貧富の差の大きさ、に驚かされるのである。 何しろ今の日本の所得レベルは、東南アジア諸国の数倍から数十倍に達するし、日本国民の貧富の差の少なさは世界でも特異な状況にあるのだから。 そういう点から2度目の海外旅行先として適当であろう。

そんな国々に比べてインドの「日本との日常の差」は、余りにも大きい。 人の多さと貧しさ、貧富の差の絶大さ、街の汚さ、食事の辛さ、食材と料理法の違い、ものの考え方と発想の違い、国の広さと自然の多さ、人種と使用言語の多様さ、どれを取っても「日本の日常との違い」は想像を絶するものがある。 初めてその国を訪れた日本人にとっては、まさにカルチャーショックの連続である。 ある人は、「こんな所へは2度と来たくない。 一日も早くこの国から逃げ出したい」と言い、別の人は「ここは面白い国だ。 ゆっくり旅行して、この国での生活をじっくり体験したい」と思う。 即ち、インド大好き派とインド大きらい派の両極端に2分されるのである。

日常との違いを体験するためにするのが、旅行(海外旅行)だとすれば、インドは将に究極の海外旅行先である。 最近一部の旅行者の間で楽しまれている、アフリカの草原や砂漠、南極のペンギンや氷とは別次元の体験である。 それらは単なる「自然の違い」(日本の自然と南極の自然の違い)に過ぎず、「人間生活の違い」(同じ人間でありながら、その生きざまの相違が余りにも大きい)から来る興味とは比べものにならないのである。