亀の甲より年の功2000/7)

視点を変えて見ると価値が一変 人は失敗からより貴重な体験を学ぶ 子供を怒るな来た道だ 年寄笑うな行く道だ

 

人の気持は時間と共に変わるもので、昨日まですごく大切だと思っていた事柄が、今日考え直して見ると、それ程たいした問題ではなくなっていたり、時にはどうでもよいことに思えることがある。 一番分かり易い例が、子供の時に宝物の様に大切にしていたものが、大人になって見直してみると、唯のガラクタであったと云うようなことは誰でも経験していることだと思う。 

同じ事柄でも視点を変えて見てみると、その価値や評価が一変してしまうこともよくあるものだ。 深刻に思い悩んでいたことでも、見方を変えると大して気にする程のことではないのかも知れない。 とても偉いと思っていた人が、それ程でもない普通の人に見えたり、その逆であったりする。

 また、人は或る年齢にならないと見えない、分からないこともある。 20才の頃に60才の人の話を聞き、その内容によく理解のできない部分があったが、自分がその歳になって見ると、「ああこんなことを云っていたのかな」とぼんやり理解できる様に思える。  「子を持って知る親の恩」と言う言葉があるが、これもその立場になって初めて理解できる例であろう。 「実際の体験をしたことのないこと」や「自分で経験したことのないこと」を他人から聞いて分かった様な気になっていても、本当に理解することはできないのかも知れない。

 年配者はそれだけ多くの経験をして来ている。 特に人は失敗から、より貴重な体験を学ぶ。 「亀の甲より年の功」とは将にこのことを云っている。

 「子供を怒るな来た道だ」 「年寄笑うな行く道だ