子供のために1999.8)

子供の身に付くもの 健康な体作り 豊富な体験 「辛く」から「甘く」

 

人は自分の子供を持つと、何らかの形でその子のためにと思って気を遣う、お金も使う。 何れの親も自分の子供に良かれと思って使う訳だが、実際には良かれと思ってしたことが、悪い結果となることもある。

基本的な考え方としては、子供にものを買い与えるよりは、子供の身に付く形の方が良い。 服やおもちゃにお金を掛けるよりも、スポーツや体験にお金を掛ける方が望ましい。 スポーツは健康な体作りになるし、豊富な体験は将来の仕事や家庭生活に良い結果を生む。 単なる受験用だけではない本当の勉強は勿論有効である。 買い与えた物は壊れることも盗られることもあるが、体や頭、心など身に付いたものは誰に取られることもない。

単に子供に楽をさせるだけのために、お金を使うのも考え物である。 一寸疲れたからと言って直ぐタクシーに乗せるようなことは、子供にとって害にこそなれ、薬になることはない。 例えば、一日何本もコーラが欲しいと言って泣く子供に、何の躊躇もなく与えるのが本当の愛情か、コーラを与えないのが真実の愛情か、良く考えてみる必要がある。

食べ物に付いてもしかりで、子供が喜ぶからと言って甘くて柔らかいものばかりを与えるのが良いか、あまり歓迎しなくても栄養があり硬いものを食べさせるのが良いのか、程度の問題ではあるが、子供に何時も妥協ばかりしていたのでは決して将来良い結果をもたらさないだろう。 それも小さい時はゆるくして、成長するに従ってだんさんと厳しくして行くことは難しい。 むしろ逆に、小さい時は厳しくして、成長するに従ってだんだんとゆるくして行く方が良い。 小さい時は、少々厳しくしてもこんなものだと慣れてしまえば、子供にとってもそれ程の苦痛は感じない。

しかし、小さい時にゆるい状態に慣れて甘やかされて育ち、成長してから厳しくすると苦痛が大きくなり耐えられなくなる。 この順序を間違えない様にすることが大切である。 子供に対して、「辛く」から「甘く」するのは簡単だが、「甘く」から「辛く」するのは至難の業だ。

「しろがねも くがねも玉も なにせむに まされるたから 子にしかめやも」 万葉集 山上憶良 より