国民と法律2007.7)

法律が積み重なって年々複雑化 総ての法律を一旦廃止 複雑な概念は図を使って理解し易く 「よらしむべき、知らしむべからず」

 

 毎年国会が開かれ、その度に何百本かの法律ができる。 新規もあれば改正もあるだろう。 しかし、古い法律が廃止されたと言う話は殆ど聞かない。 その結果、法律が積み重なって年々複雑化していく。 プロと言われる人達(裁判官、弁護士、検事など司法関係者、国会議員、法学関係者)は一体何を考えているのだろうか。 実際にはプロ達も自分が専門とする、限られた分野以外は、よく分かっていない。 現行の法律の中にも、時代遅れの法律や不要な法律が沢山含まれているに違いない。 法律の複雑化による国民の不便さなどは関知しないのか、或いは、国民を縛ることばかり考えているように見える。

 

何のために法律を作るのかという基本的なところで間違っているように思える。 一度、総ての法律を一旦廃止して、改めて本当に必要な法律のみに絞り込んで再度制定し直すべきである。 「そんなことは物理的にできない」と専門家達は言うだろうが、それは自分達の長年の怠慢の結果であることを忘れている。 否、法律が複雑である方が自分達にとっては有利であり、自分達の利益を守る一種の既得権になっているようにさえ見える(保険の定款が、細かな文字で難しく書かれているのと同じ)。

 

 これだけ法体系が複雑になれば当然既存の法律間で矛盾が発生する。 時代の変化に対応できない時代遅れの法律も多々ある。 新しい社会のシステムや技術の進歩に追従できず法の抜け穴も発生する。

 

更に問題なのは法律用語である。 難解な条文や用語が多用されているが、決して図を使わない。 複雑な概念ほど図を使って説明すれば理解し易いことは、誰でも知っている。 だからこそ、難しい課題を扱った内容に「図解・・・」と題した各種の説明本が出されている。 特許の申請には、必ず図を入れることになっている。 それによって、内容を理解し易くし、誤解を少なくするためである。 もし法律に図解が多用されていれば、もっと分かりやすくなり、法律解釈を巡る紛争も避けられるに違いない。

 

法律を本当に国民に分かり易く理解させようとせず、専門家の専売にして、自分達の権利・権力を保護しているのではないかと疑りたくなる。 こんなことを言うと「素人考え」とか、「素人が何を言うか」と馬鹿にされる。 しかし、法律は国民のためにあり、しかも大多数の国民は法律の専門家ではないのだから、素人に分かるように書くのが本当のプロ(玄人)である。 中途半端な玄人が、難しい条文を書く、それこそが問題であろう。 「よらしむべき、知らしむべからず」の真意を誤解しているのではないだろうか。