車と道路1999.8)

渋滞が絶えない 車はコンベア生産 道路はこつこつ作っていく 車の流れに合わせて信号を制御

 

年々莫大なお金を掛けて全国で道路整備が行われてきた。 その結果日本中の道路は立派になった。 しかし、依然として毎日の都心の道路や休日の観光地の道路では渋滞が絶えない。 少々道路を新設したり、拡幅したりしてもそれ以上に車が増えては渋滞が解消するはずがない。 何しろ車はベルトコンベアに乗ってどんどん生産されるし、道路は狭い土地を買収しながら、こつこつと作っていく訳だから、車の増加に道路の増加が追い付くのは不可能だ。

車の増加に道路の増設で対応しようとすること自体ナンセンスだ(道路工事は土建会社への救済対策だと言う人もいるが)。 鉄道、航空、船、駐車場、工場立地、住宅配置など、交通に係る全体システムで検討しなければ根本的な交通渋滞への解決策は出てこない。

しかし、もっと簡単な渋滞対策も合わせて考える必要がある。 例えば、交通信号の制御方法一つを取ってもまだまだ改善の余地がある。 本来道路と信号の基本機能は、「一定時間に如何にして最大数の車を通すか」にある。 にも拘わらず現在の交通信号の考え方は、信号で車の流れを制御しようとしている。 これは本末転倒で、車を如何にスムーズに流すかを主眼において、車の流れに合わせて信号を制御すべきである。

交差点での信号を見ていても、一方の道路には車が通っていないのに信号は青になり、他方の道路には沢山の車が列を成しているのに、信号は赤のままで、なかなか青に変わらない様な状況がしばしば見られる。 現在のコンピュータ制御技術と交通理論を駆使すれば、その日その日、その時間帯その時間帯毎の道路の交通量に合わせて、信号の切り替え時間を自動制御して渋滞緩和や無駄な信号での停車短縮にかなりの効果を挙げることはそれ程難しいことではない。 しかも道路工事費に比べれば何分の一かの安い費用で済む。

土建工事に片寄った従来型ワンパターンの発想を早急に見直すべきだ。