仕事の失敗1999.8)

命まで取らない 病気の方が余程怖い この世で起きたことは必ずこの世で解決する

 長い会社生活の内には、仕事の上の失敗をすることもあれば、行き詰まってどうにもならないこともある。 上司やお客に酷く怒られる事もあろう。 しかし、いくら上司が怖いといえども、どんなにお客に怒られようとも、決して命まで取るとは言わないだろう。

 だから、どんな時でもそれ程心配することはない。 それよりも、身体をこわして病気にでもなれば、それこそ命まで取られしまうかも知れない。 病気の方が余程怖い。 又病気になれば会社も困るし本人も困る。 なによりも健康が第一だ。 

どんな難問であろうと、この世で起きたことは必ずこの世で解決する。 会社で起きたことで、未だかって解決できなかった事件はない。 どんな悪天候も回復しなかったことは一度もない。 どんなに長い夜も必ず何時かは朝が来る。 心配し過ぎることはない。

長年のサラリーマン人生で、私もなんどか苦しい誤りの場面に立たされた。 在る時は、新規開発の駐車場システムをA市の駐車場に納入したがトラブルが続き、いろいろと手は打ったがトラブルが収束せず、開発責任者の私と営業部長の二人で市役所へ何度か謝りに出かけた。 最終的には市長にも直接謝らねば済まないことになってしまい、市長から散々嫌味を聞かされた。

また或る時は、B電力会社に納入した制御盤にトラブルが発生し、原因と再発防止の資料を持って発電所に謝罪せねばならないことになった。 品質管理や営業の責任者が謝りに行くのを嫌がって、年末で忙しいことを理由に逃げるので、止むなく制作工場から私だけが行くことになってしまった。 誰が行くかでもたもたしている間に遅くなり、12月28日の午後に発電所の担当部署へ出向くと、事務室にはもう御用納めのために数本の一升瓶とコップとつまみが並べられていた。 謝罪が遅れたこともあり平謝りしたが、お客の発電所の責任者も一升瓶を前に長時間の説教をするわけにも行かず、比較的短時間で開放してくれた。

また或る時は、C電力会社の原子力発電所に納入したロボットがトラブルで停止し、定期検査の日程が延びてしまった。 この時は上司と私が発電所へトラブルの原因説明と日程が何日延びるかの説明に出かけた。 発電所の副所長から「発電所の停止期間が一日伸びたら何億円経費が増えるか、知っとるか」と怒鳴られた。

この他にも、土建屋さんが起こした停電事故のために、通産省の担当官に1時間近く絞られたり、道路公団の課長に、偶々会社の名前が似ていたため、他の会社の不具合を間違えて散々怒られた後で気が付いたり等々、何度かこんな場面に出会ったが、40年間一度も病院のベッドで寝ることなく何れもクリアーしてこられた。 サラリーマン生活で起きたことは、総てその期間中に解決できる実例である。