税制2002.5)

税制は簡単なほど良い 複雑で分かり難いから食べていける ノーベル賞受賞者も理解できない税法

 

税金に関する制度は簡単なほど良い。 被統治者(納税者)から見て分かり易いほど良い税制である。 歴史を見ても、成人一人当たり幾ら、収入の何%、畑の面積当り幾ら、などと決められている場合が多い。 それに較べて、日本の現行税制は、幾ら世の中が複雑になったからとは言え余りにも複雑過ぎる。 しかも毎年変更されるから、余計に分からなくなる。

 

 一部の税金専門家(税務職員、税理士)を除いて、全国民が税制の詳細を理解できない。 各種の減税制度、所得の評価制度、経費の算入方法、難解な税金用語、などのため、税金専門家以外には正確に理解できない。 それどころか、専門家でも答えられない計算方法が幾らでもある。 一度、住宅減税のことで専門の税理士に計算方法を質問したことがある。 「ウ−ン」と言って答えられず、「税務署に直接聴いて下さい」と言われたことがある。 また、別の税理士は「私達にも分からないことが沢山あるんですよ」と言っていた。 それと同時に「このように複雑で分かり難いから、私達が食べていけるんです。 大きな声では言えませんがね」とも言っていた。 何と言う馬鹿げた現実か。 

 

ノーベル賞を受賞した野依博士が、外国で貰った講演料や賞金、それにかかった経費などを税法通り申告していなかったとして、税務当局から脱税容疑で摘発された(所得税法違反で更正をうけた)記事が新聞に出ていた(H14.4月)。 まさか博士が故意に脱税していたとは考えられない。 ノーベル賞を受賞したような賢い人でもよく理解できない程、今の税法は難解である。 普通の常識ある国民が理解できないような税制は、どう考えても良い税制とは言えない。 少なくとも基礎教育(中学校3年の義務教育)を終了した国民が容易に理解できるようにしていかなければならない。 これは税金が高いか低いかと議論する以前の問題である。 一度、現行の税制を総て廃止して、新規に思い切って簡素化した税制を新設するこらいの蛮勇を振るう政治家はいないものだろうか。

 

一方、税金専門家はまったくの専門馬鹿で、国民から税金を取ることしか考えず、税金と国民の勤労意欲、納税・徴税にかかるコスト、税金逃れからくる国民の後ろ向きの努力、などはあまり考慮していない。 特に、納税に関する国民の負担(税金そのものではなく、帳簿の記帳、税額の計算、納税の諸手続、など)の大きさは一切考慮しない。 納税は国民の義務であり、どれだけ手間が掛かっても、そんなことは我関せず、である。 おかげで国民は税務署に不信を抱き、「如何に税金を少なくするか」に智恵をしぼり、後ろ向きの無駄なエネルギーを使うことになってしまう。