恒産なければよりて恒心なし

 その日暮らし 住環境は大切 入るを計って出るを制す 金のために他人に縛られるな

 

 中国の高名な聖人である孟子が、「恒産なければよりて恒心なし」(因みに恒産、恒心の恒と言う字は恒星の恒と同じで、常に変わらない状態を意味する)と2千数百年前に言っている。 恒産即ち、日々の生活に困ることのない程度の、そこそこ纏まったお金(資産、収入)がなければ、恒心即ち、いらいらこせこせしない落ち着いた気持ちになれない、と言う意味であろう。

 その日暮らしの生活を続けていては、将来を見据えたしっかりした考えを持てないのは、今も昔も同じである。 人は住む場所(環境)によって発想が違ってくるものだ。 勿論例外はあるが、毎日の住環境は大切である。

 「入るを計って出るを制す」と言う言葉も昔の人が言っている。 「入る」(給料やその他の収入)を考慮して、それに見合う様に「出る」方をコントロールし、いざと言う時のために、少しでも余剰を生み出しておきたいものだ。 是非ともお金が必要な事情が発生した時に、おろおろしていると人に馬鹿にされるだけでなく、随分惨めな思いをさせられることになる。 「金のないのは首のないのと同じ」とさえ言われるくらいだから。 他人に頼らないだけの準備は自主独立の基本である。 少なくとも金のために他人に縛られることのない様に心がけておきたい。